2026年8月30日。
埼玉西武ライオンズ一筋で25年間プレーした栗山巧さんが、現役最後の試合を迎えました。
最後の打席で放ったのは、ヒット。
通算2152本目の安打でした。
2000安打を超える記録もすごい。
25年間、一つの球団でプレーし続けたこともすごい。
でも、栗山さんの野球人生を振り返っていると、それ以上に考えさせられることがあります。
なぜ、この人は25年間も一つの場所で必要とされ続けたのだろう。
その答えを探していくと、栗山さんが少年時代から大切にしてきた一つの言葉にたどり着きます。
「善敗己由」
栗山さんが小学3年生の頃。
父親を通じて、西鉄ライオンズの伝説的投手・稲尾和久さんから一枚のサイン色紙をもらいました。
そこに書かれていたのが、
「善敗己由(ぜんぱいおのれによる)」
という言葉でした。
良いことも、悪いことも自分次第。
誰かのせいではない。
栗山さんは後に、この言葉が心の支えになったと振り返っています。
プロ野球選手を目指していた頃にも、
誰かがどうするかではなく、自分がしっかりするかどうか。
そんな思いで練習を続けていたといいます。
少年時代にもらった一枚の色紙。
その言葉を胸に成長した少年が、やがて稲尾さんと同じライオンズのユニフォームを着ることになります。
いつも順調だったわけではない
25年間と聞くと、ずっと第一線で活躍し続けたようにも感じます。
もちろん、そんなことはありません。
レギュラーとして活躍した時代があり、2000安打という大記録も達成しました。
一方で、年齢を重ねれば出場機会は減っていきます。
現役最後となった2026年も、二軍で過ごす時間が長くなりました。
それでも栗山さんは、自分が二軍にいるなら、そこで必死にやる。
そして一軍が勝つための戦力になりたいという思いは変わらない、と語っています。
自分が試合に出られるか。
監督が使ってくれるか。
若い選手が台頭してくるか。
それらすべてを、自分だけで決めることはできません。
でも、
今日、自分がどう練習するか。
目の前の一打席にどう向き合うか。
そこは自分で決められる。
まさに「善敗己由」です。
必要とされる人は、「自分にできること」を考える
これは野球だけの話ではありません。
仕事でも同じではないでしょうか。
会社から評価されない。
上司が分かってくれない。
景気が悪い。
会社の方針が変わった。
もちろん、自分ではどうにもならないことはあります。
だからこそ大切なのは、
「それでも、自分にできることは何だろう」
と考えることなのかもしれません。
必要とされる人は、何でもできる人とは限りません。
いつも結果を出せる人とも限りません。
うまくいかないときにも、環境や誰かだけに答えを求めず、自分にできることを探し続ける。
そんな人だからこそ、周囲から長く信頼されるのではないでしょうか。
「一筋25年」よりもすごいこと
栗山さんはFA権を取得してもライオンズに残りました。
本人は「西武一筋」と言われることについて、それは自分が選んだ道だという趣旨の言葉を残しています。
一つの場所に長くいること自体が、すごいわけではありません。
本当にすごいのは、
その場所で25年間、必要とされ続けたこと。
そして、その長い年月を支えたものの一つが、少年時代から大切にしてきた「善敗己由」という考え方だったのではないでしょうか。
人生では、自分では選べないことがたくさんあります。
環境も、他人の評価も、突然起こる出来事も、自分の思い通りにはなりません。
でも、
その状況で自分がどうするかは、自分で選ぶことができます。
良いときだけではなく、うまくいかないときにも。
「今の自分にできることは何だろう」
と考えてみる。
栗山巧さんの25年間は、「必要とされ続ける人」が大切にしているものを、静かに教えてくれているように思います。
以上
「一流の思考ラボ」編集長でした。
参考・出典
・栗山巧オフィシャルサイト|MESSAGE「初の永久欠番。」
・パ・リーグ.com|栗山巧、現役最終打席で通算2152安打
