「安い店」と聞くと、どんな店を思い浮かべるでしょうか。
値札が安い。
特売が多い。
できるだけ余計なものを省き、価格で勝負する。
もちろん、それも一つの強さです。
しかし、もし「安さ」だけが理由なら、もっと安い店が現れた瞬間に、お客様はそちらへ移ってしまうかもしれません。
では、
「安いから行く店」を、「わざわざ行きたい店」に変えるには、何が必要なのでしょうか。
そのヒントを教えてくれるスーパーがあります。
ロピアです。
2026年9月1日、電子チラシサービス「Shufoo!」が発表した「ベストオブスーパー2026」。
11万108票の投票を集めたこの企画で、ロピアは全国総合1位に選ばれました。
しかも、2025年に続く2年連続の1位です。
では、なぜロピアは選ばれているのでしょうか。
その答えを見ていくと、スーパーだけではない、さまざまな商売に通じる「選ばれる理由」が見えてきます。
実は、「安さ」で1位ではなかった
ロピアと聞いて、まず思い浮かべるのは「安い」というイメージかもしれません。
実際、今回のランキングでもコスパは高く評価されています。
ところが、興味深いことがあります。
ロピアは「コスパ部門」の1位ではありませんでした。
2026年のコスパ部門1位は、ビッグヨーサンです。
それでも、総合1位はロピアでした。
なぜでしょうか。
ロピアは、肉部門では3年連続1位。
さらに品揃えでも高い評価を得ています。
投票した人からは、
「お肉の部位が充実している」
「圧倒的なボリューム感」
「お惣菜も心躍る」
といった声が寄せられています。
ここに、ロピアの面白さがあります。
「安い」という一つの理由だけで、選ばれているわけではないのです。
「何でもある」より、「ここに来る理由」をつくる
ロピアの原点は、1971年に創業した精肉専門店です。
だから現在でも、肉は大きな強みの一つ。
今回のランキングでも、肉部門で3年連続1位になっています。
これは商売を考えるうえで、とても面白いことだと思います。
すべての分野で1位になる必要はない。
むしろ、
「これなら、あそこに行きたい」
と思ってもらえるものを持つ。
コスパの良い、おいしいお肉を買いたいからロピアへ行く。
せっかく行ったから、魚も見る。
惣菜も見る。
面白そうな商品を見つける。
そして気づけば、買い物そのものが目的になっていく。
ロピアが目指しているのは、単なるスーパーマーケットではありません。
自ら掲げている言葉は、
「食のテーマパーク」
です。
公式サイトには、
「ユートピアとは、楽しく感動していつも行きたいところ」
という言葉もあります。
スーパーなのに、「買う場所」だけを目指していないのです。
「安く買えた」の先にあるもの
価格の安さには、大きな力があります。
100円安ければ、嬉しい。
1,000円安ければ、もっと嬉しい。
しかし、その喜びは基本的に「買った瞬間」に生まれるものです。
一方で、
「今日は何があるだろう」
「これ、面白い」
「こんな商品まであるんだ」
という感情は少し違います。
買い物そのものが、体験になります。
ロピアが掲げる「食のテーマパーク」という言葉には、その考え方が表れているように思います。
安く買える。
でも、それだけではない。
商品を見るのが楽しい。
売場を歩くのが楽しい。
誰かに話したくなる商品がある。
だから、
「安いから行く」が、「ロピアだから行く」に変わっていく。
ここに、価格競争とは少し違う強さがあります。
店ごとに違っていい
もう一つ、ロピアには特徴的な仕組みがあります。
それが、現場への権限委譲です。
ロピアを展開するOICグループは、基本方針として「現場主義」を掲げています。
その理由も明確です。
地域やお客様に近いのは、本部や経営陣ではなく現場だからです。
さらに、各部門のチーフは販売戦略、商品開発、売場づくりを担い、公式採用サイトでは「最小単位の経営者」と表現されています。
これは、チェーン店の一般的なイメージとは少し違います。
本部が決めた正解を、全国の店舗が同じように実行する。
それだけではありません。
目の前のお客様を見ながら、現場が考える。
だから、売場にも個性が生まれやすくなる。
効率だけを考えれば、全国どこでも同じ店をつくった方が簡単かもしれません。
でも、「わざわざ行きたい」という感情は、
少し予想できないところから生まれることがあります。
「効率化」と「選ばれる理由」は、同じではない
これはスーパー以外にも当てはまります。
会社を経営していると、どうしても効率化を考えます。
商品を標準化する。
サービスをマニュアル化する。
無駄を減らす。
価格を下げる。
どれも大切です。
ただ、効率を追い続けた結果、
「どこで買っても同じ」
になってしまったらどうでしょうか。
同じなら、近いところで買う。
同じなら、安いところで買う。
同じなら、早いところで買う。
つまり、比較される軸が価格や利便性だけになってしまいます。
だからこそ、
「ここで買いたい理由」をつくることが大切になります。
ロピアの場合、それが肉の強さであり、品揃えであり、ボリューム感であり、楽しい売場なのかもしれません。
一つ一つは小さな違いです。
でも、それが重なると、
「スーパーに行く」
ではなく、
「ロピアに行く」
という行動に変わります。
すべてで1位になる必要はない
今回の「ベストオブスーパー2026」を見ると、もう一つ面白いことがあります。
品揃え、コスパ、おもてなし、チラシ、肉、魚、野菜、惣菜。
それぞれの部門には、それぞれ違う1位があります。
ロピアがすべてを独占しているわけではありません。
それでも、総合1位になりました。
ここには、商売を考えるうえで大切なヒントがあるように思います。
すべてで競合に勝とうとしなくてもいい。
一番安くなくてもいい。
すべての商品が一番でなくてもいい。
大切なのは、
「あなたの店を選ぶ理由」が、ちゃんとお客様の中にあること。
これは飲食店でも同じです。
ホテルでも同じです。
メーカーでも、士業でも、Webサービスでも同じでしょう。
「一番安いから」
だけではなく、
「あの人に相談したい」
「あのお店に行きたい」
「この会社の商品を買いたい」
そう思ってもらえる理由を、どれだけつくれるか。
「安いから行く」を超えたとき
ロピアは、「同じ商品ならより安く、同じ価格ならより良いものを」という考えを掲げています。
つまり、安さを捨てたわけではありません。
ここは、とても重要です。
安さを超えることは、安さをやめることではない。
まず、期待されている価値をきちんと提供する。
そのうえで、
「ここにしかない」
「ここに来ると楽しい」
「また行きたい」
という理由を重ねていく。
価格は、来店する理由になる。
でも、価格だけではなくなったとき、
その店はもっと強くなる。
今回、ロピアは2年連続で総合1位に選ばれました。
その理由を「安いから」の一言だけで説明してしまうと、ロピアの本当の強さを見落としてしまうのかもしれません。
商売で目指したいのは、
「安いから選ばれること」ではなく、「ここだから選ばれること」。
そして、その先にあるのが、
「わざわざ行きたい」と思ってもらえる存在になること。
あなたの会社やお店には、
お客様が「わざわざ」選びたくなる理由が、いくつあるでしょうか。
以上
「一流の思考ラボ」編集長でした。
