「忘れないようにしよう」と思うほど、忘れてしまう理由|できる人は「覚える」ことを自分に任せない

「あとで返信しよう」

「帰ったら調べてみよう」

「次の会議で、この話をしよう」

仕事をしていると、こんなふうに思うことがあります。

その瞬間は、ちゃんと覚えている。

だから、

「これくらいなら、覚えていられるだろう」

と思ってしまいます。

ところが数時間後。

何かを忘れている気はするのに、それが何だったのか思い出せない。

そして翌日になって、

「あ、返信するの忘れてた」

と気づく。

こんな経験、一度くらいはあるのではないでしょうか。

でもこれは、単に「記憶力が悪い」からとは限りません。

むしろ問題なのは、

自分の記憶力に、仕事を任せすぎていること

なのかもしれません。

「忘れないようにしよう」は、仕組みではない

大切なことを聞いたとき、

「忘れないようにしよう」

と思います。

しかし考えてみると、少し不思議です。

忘れないようにしようと思っただけでは、忘れないための仕組みは何も増えていません。

メモもしていない。

予定にも入れていない。

通知も設定していない。

ただ、

「未来の自分が覚えているはずだ」

と期待しているだけです。

ところが、その後にも仕事は次々と入ってきます。

メールが届く。

電話が鳴る。

誰かに話しかけられる。

別の仕事を始める。

頭の中には、新しい情報がどんどん入ってきます。

その中で「あとでやろう」と思っていたことが抜け落ちても、それほど不思議ではありません。

頭の中に「小さな仕事」を置き続けていないか

もう一つ問題があります。

「覚えておかなければ」と思っている間、そのことは完全には終わっていません。

「今日、あの人に連絡しないと」

「帰りに買うものがあったな」

「明日の会議で確認することがあった」

こうした小さな仕事を、頭の中にいくつも置いておく。

すると、ときどき思い出します。

「あれもやらないと」

しばらくすると、また思い出します。

「あ、まだやってない」

そして別の仕事をしているときにも、

「そういえば……」

と頭に浮かぶ。

一つひとつは小さなことでも、増えていけば頭の中は少しずつ散らかっていきます。

だから大切なのは、すべてを覚えておくことではありません。

むしろ、

覚えておかなくてもいい状態をつくることです。

できる人は、「忘れない人」ではない

仕事ができる人を見ると、

「あの人は、よく覚えているな」

と思うことがあります。

でも実際には、記憶力だけに頼っているとは限りません。

その場でメモする。

カレンダーに入れる。

タスクに登録する。

リマインダーを設定する。

すぐ終わることなら、その場で済ませる。

つまり、

「覚える」という仕事を、頭の外に出しています。

ここに大きな違いがあります。

仕事ができる人は、

「自分は忘れない」と考えているのではなく、「自分も忘れる」と考えている。

だから仕組みをつくるのです。

記憶力ではなく、「忘れても大丈夫な仕組み」をつくる

たとえば、

「来週、この人に連絡しよう」

と思ったとします。

そこで「覚えておこう」で終われば、未来の自分の記憶力に任せることになります。

でも、その場でカレンダーに

「○○さんに連絡」

と入れておけばどうでしょう。

もう覚えておく必要はありません。

「次の会議で、この話をしよう」

と思ったら、会議のメモに一行だけ書いておく。

「帰りにこれを買おう」

と思ったら、スマートフォンに残しておく。

ほんの数秒です。

それだけで、

「覚えていなければならないこと」が、「忘れても大丈夫なこと」に変わります。

これは、意外と大きな違いです。

「覚えておく」を一つ減らしてみる

私たちは、つい自分の頭を万能な保存場所のように使ってしまいます。

でも頭には、もっと大切な仕事があります。

考えること。

判断すること。

アイデアを生み出すこと。

誰かの話をきちんと聞くこと。

そのためにも、

「覚えておかなければ」

という小さな仕事を、できるだけ頭の外へ出してみる。

大切なのは、記憶力を鍛えることだけではありません。

自分の記憶力を信用しすぎないことも、一つの仕事術です。

できる人とは、何でも覚えている人ではなく、

忘れても困らない仕組みをつくれる人。

今日、「あとでやろう」と思ったことがあったら、

「覚えておこう」で終わらせず、どこかに残してみてください。

その数秒が、未来の自分を少しだけ助けてくれるはずです。

以上

「一流の思考ラボ」編集長でした。


あわせて読みたい

▶「正解」が出ないときに足りないもの|「正解」ではなく「情報」を増やす思考法