「けんかをしてもその日のうちに謝る」|婚約した「りくりゅう」から考える、信頼のつくり方

2026年8月23日、フィギュアスケートのペア「りくりゅう」として親しまれてきた三浦璃来さんと木原龍一さんが、婚約を発表しました。

二人は2019年にペアを結成。

世界選手権、そして2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックまで、長い時間を一緒に戦ってきました。

婚約を伝える言葉の中で、二人は、うれしい時も辛い時も支え合って歩み、いつしか互いにとって**「なくてはならない存在」**になったと明かしています。

これだけを見ると、

「やっぱり、もともと相性がよかった二人だったんだ」

と思うかもしれません。

でも、二人の7年間をたどってみると、少し違う景色が見えてきます。

最初から、何でも分かり合える関係だったわけではありません。

ケンカもする。

失敗もする。

気持ちが落ち込むこともある。

それでも、二人は少しずつ信頼をつくってきました。

その話の中に、印象的な言葉があります。

「けんかをしてもその日のうちに謝る」

二人の間には、そんなルールが自然とできていったそうです。

信頼とは、ケンカをしないことではない。

もしかすると、

ケンカした後に、どうするか。

そこに、その関係の強さが表れるのかもしれません。

最初は、敬語だった

今では息の合った姿が印象的な「りくりゅう」ですが、最初から今のような関係だったわけではありません。

二人がペアを結成したのは2019年。

きっかけをつくったのは、三浦さんでした。木原さんに声をかけ、トライアウトを行ったところ、木原さんは「うまくいく」という感覚を持ったと振り返っています。

ただ、当時の二人には9歳の年齢差がありました。

三浦さんは、最初の頃は木原さんに敬語を使い、気を遣っていたそうです。

木原さんがどんな人なのかも、まだよく知らなかった。

今の二人だけを見ていると少し意外です。

そして、ここが面白いところです。

信頼できる相手だったから、ペアになった。

というより、

ペアになってから、一緒に過ごす時間の中で信頼できる相手になっていった。

二人の話を聞いていると、そんなふうにも見えてきます。

「ケンカしない」が、いい関係ではない

長い時間を一緒に過ごせば、意見が合わないこともあるでしょう。

実際、二人もケンカをすると話しています。

でも、三浦さんによると、二人の間にはいつしか、

「けんかをしてもその日のうちに謝る」

というルールができました。

私は、この話がとても印象に残りました。

良いパートナーと聞くと、

「何でも分かり合える」

「考え方が合う」

「ケンカをしない」

そんな関係を想像してしまいます。

でも、性格も考え方も違う二人が、ずっと一緒にいれば、ぶつかることはあります。

大切なのは、

ぶつからないことではなく、ぶつかった後に関係を戻せること。

なのかもしれません。

仕事でも似ています。

意見が食い違った。

言い方がきつくなった。

相手の考えに納得できなかった。

そんな時、何もなかったことにして距離を置くこともできます。

「相手が悪い」と考え続けることもできます。

けれど、

「さっきはごめん」

と言う。

もう一度話す。

次の日まで引きずらない。

一つひとつは、とても小さなことです。

でも、こうした小さな修復を何度も積み重ねることが、

「この人とは、ぶつかっても大丈夫」

という安心につながっていくのではないでしょうか。

片方が弱い日は、もう片方が強くなる

二人の信頼が表れた場面は、ケンカの話だけではありません。

2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピック。

ペアのショートプログラムで、二人にはリフトのミスがありました。

木原さんは、その失敗に大きなショックを受けました。

フリー当日の練習でも涙が止まらなかったといいます。

そんな木原さんを横で見ていた三浦さんは、

自分が強くならなければ、と気持ちを切り替えました。

そして二人はフリーで素晴らしい演技を見せ、金メダルへたどり着きます。

いつも同じ人が支えるわけではない。

自分が弱い日は、相手が支えてくれる。

相手が弱い日は、自分が少し強くなる。

二人ともが、いつも強くなくてもいい。

どちらかが倒れそうになった時、もう一人が立っていればいい。

これも、パートナーでいることの大きな意味なのかもしれません。

信頼は「相性」だけでは説明できない

もちろん、二人の相性がよかったことも大きいでしょう。

三浦さん自身も、二人について「相性がいい」と話しています。

でも木原さんは、もう一つ大切なことを話しています。

二人でいくつもの壁を乗り越え、その日々の積み重ねによって、信頼感が高まっていったというのです。

2019年にペアを結成してから、すべてが順調だったわけではありません。

ケガで大会に出られなかった時期もありました。

世界の舞台で結果を残せるようになるまでにも時間がかかりました。

一緒に喜んだ日だけではなく、

うまくいかなかった日も、

失敗した日も、

ケンカした日もあった。

そのたびに二人で次へ進んできた。

だからこそ、7年後に、

互いを「なくてはならない存在」と表現する関係になったのではないでしょうか。

最高のパートナーは、少しずつつくられる

私たちは、人との関係で、

「自分に合う人はいないだろうか」

と考えることがあります。

仕事でも、

「優秀な人と組めばうまくいく」

と思ってしまうことがあります。

もちろん、誰と一緒にいるかは大切です。

相性だってあります。

でも、「りくりゅう」の7年間を見ていると、それだけでは説明できないものがあります。

最初は敬語だった。

ケンカもした。

失敗もした。

どちらかが弱くなる日もあった。

それでも、そのたびに関係をつなぎ直してきた。

そう考えると、

最高のパートナーとは、「見つける」だけのものではないのかもしれません。

一緒に過ごし、

ぶつかったら話し、

間違えたら謝り、

相手が弱い日は少し支える。

そんな小さなことを繰り返しながら、

少しずつ「最高のパートナー」になっていく。

二人の婚約は、そんなことを教えてくれているように思います。

信頼は、つくり続けるもの

「ケンカしたら、その日のうちに謝る。」

言葉にすれば、とても簡単です。

でも、本当に大切な人ほど、

「自分から謝るのは悔しい」

「向こうから言ってくるべきだ」

と思ってしまうこともあります。

だから、今日考えてみたいのは、

「自分にとって最高のパートナーは誰か」ではありません。

大切な人と、いい関係を続けるために、自分は何をしているだろう。

仕事仲間でも。

家族でも。

友人でも。

パートナーでも。

信頼は、一度つくったら完成するものではない。

毎日の小さな行動で、少しずつつくられていくものなのかもしれません。

「りくりゅう」の二人が7年間かけてつくってきた信頼が、今度は氷の上から、人生という新しい舞台へ続いていく。

二人の婚約を祝福しながら、

自分のそばにいる大切な人との関係について、少し考えてみる。

そんなきっかけをくれるニュースでした。

以上

「一流の思考ラボ」編集長でした。


参考資料・出典

・日本オリンピック委員会(JOC)「栄光をつかみとった絆 りくりゅうペア、7年の歩みが結実した金メダル(三浦璃来・木原龍一)」

・木下グループ「フィギュアスケート木原龍一選手、新ペア結成」

・木下グループ「三浦璃来・木原龍一組 ゴールデンスラム達成」

・テレビ朝日「【速報】フィギュアスケート・りくりゅうペアが婚約を発表 『なくてはならない存在』」


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